節税対策
- junseikaneko
- 2019年4月18日
- 読了時間: 5分
こんにちは。尼崎の税理士の金子です。
経営者で「節税」が嫌いな方は、まずいないのかと思われます。(節税を重視しない経営者はいらっしゃると思いますが、敢えて税金を多く払いたいと考える人はいないと思います。)
しかし、必要以上に節税にこだわりすぎると、運転資金が枯渇して資金繰りに困ってしまうケースも多々あります。
一般的に節税は、キャッシュアウトを伴うケースが多いのですが、節税に伴う必要経費は節税による減税額の3倍以上のキャッシュアウトが必要となります。(課税所得等にもよりますが、100万円の必要経費で減少する法人税等は30万円ほどです)
なので、あまり意味のないと考えられる節税はお勧めしませんが、中にはやっておいて損はない節税はあります。
今回はそれらの効果的な節税について解説していこうと思います。
1.賃上げ投資促進税制
こちらについては、過去何度も説明しておりますが(参照:賃上げ投資促進税制(所得拡大促進税制)について、賃上げ投資促進税制の教育訓練費)、要件を満たせば一定額の税額控除ができるものです。
従業員の給与に絡むことなので、要件を満たすため無理やり従業員給与を上げる必要はないと思いますが(必要以上に上げてしまうと、翌年以後従業員の給与が前年に比べて減少してしまう場合、モチベーションの低下に繋がる可能性があるため)、要件を満たすのであれば、絶対に適用しておくべきものです。
尚、こちらの税制については、当初申告で適用しておかないと、後で更正の請求を行うことができませんのでご注意ください。
2.短期前払費用の特例
法人の決算上、損金の額に算入される販管費の額は、償却費を除いて、その事業年度末日までに債務が確定していることが原則となります。
しかし、債務が確定していないものであっても、その支払った日から1年以内に役務の提供を受けるもので、継続的に等質等量の役務提供を受けるもの、費用収益の対応を求められるものでないこと、継続的に適用すること等一定の要件を満たせば、その支出時に損金の額に算入することができます。
短期前払費用の特例は、特に生命保険やオペレーティングリース等で活用されるケースが多いですが、下記のような支出についても活用することができます。
・倒産防止共済
中小機構が取引先の倒産によって連鎖的に中小企業が倒産又は経営難に陥らないように設けられている共済制度です。
掛け金は月5000円~20万円まで自由に設定でき、40月以上加入し続けると解約したとしても元本の100%が返ってきます。
尚、掛け金の累計は800万円までとなっています。
・家賃(家主との契約上、年払いである場合)
・賃借料
・借入利子
3.未払金の計上
支払いは翌期であったとしても、当期に債務の確定しているものは未払でも経費計上できます。代表的なものは、社会保険料や人件費です。(例えば15日締め25日払いの会社であれば、16日から月末までの給与を未払計上することができます)
4.旅費規定や社宅の活用
出張の多い会社の場合、社会通念上通常必要である出張費について、旅費規程を定めておくことで、当該出張費については損金の額に算入できるうえ、所得税も非課税となります。
ここで注意しておくことは、出張費があまりに高い金額であれば否認されてしまうという点と、出張費の支給に宿泊費や旅費も含まれている場合、当該ホテル代や交通費の領収書も経費に計上してしまうと二重計上になってしまうことです。
また、法人が所有する社宅やで特に豪華なものでないものや賃貸であっても法人契約である社宅については、従業員から徴収する家賃は少額で済みます(賃貸物件の場合は1/2が個人負担)。こちらについては、節税の観点からだけでなく、福利厚生の観点からも有用であると思われます。
5.評価損の計上
棚卸資産については、原則としてその法人が定めた法定評価方法(何も定めていない場合は最終原価法による原価法)により評価されることとなりますが、下記要件を満たすため、通常の価額で売却することができないことが明らかである場合には、評価損を計上することができます。
・季節商品の売れ残り
・災害等で著しく損傷したものであること
・新製品の販売による型遅れ
・型崩れ、棚ざらし等により品質劣化
尚、税務調査で評価損の理由を聞かれた際回答できるように、通常価額で売却することができないデータや損傷している商品の写真等について、準備しておく必要があります。
6.小規模企業共済やイデコ等への加入
法人の所得金額を減少させるのに真っ先に思い浮かぶのが役員報酬の増額ですが、日本の税制においては、法人に対する税額を少なくして個人に対する税額を大きくする傾向があり、役員報酬を過度に増額してしまうと所得税や個人住民税等の負担が大きくなってしまいます。小規模企業共済は、社長自身の(外部への)退職金の積み立て的なものです。
社長がリタイヤする際、中小機構から退職金の支給を受けることができ(但し、一定の場合には元本割れの可能性もある)、支払った金額は社長の所得控除として所得税や個人住民税が少なくなります。
7.決算賞与
下記要件を満たす従業員に対する賞与は、その事業年度の損金の額に算入することができます。
・事業年度末までに全従業員に各人別にかつ同時期に賞与の額を伝えていること
・事業年度末から1か月以内に支給していること
・未払金として損金経理していること
こちらについては、賃上げ投資促進税制と絡ませることでより効果が大きくなります。
上記以外にも中小企業で活用できる節税策はありますが、特に使いやすいものを7つ列挙してご説明しました。
尚、節税について税務調査の際、根拠資料の提出を求められることがありますので、顧問税理士等と相談の上行うようにしてください。
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