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退職金の返済原資として支払われた現金は給与等に該当(週刊税務通信No.3552)

  • junseikaneko
  • 2019年4月16日
  • 読了時間: 2分

こんにちは。税理士の金子です。

週刊税務通信No.3552にて気になる税務訴訟の記事がありました。

前提

・控訴人は公益法人制度改革に伴う一般社団法人への移行認可を受けるため、理事長に対して有していた貸付金(5332万円)の返済を受ける必要があった。

・しかし、理事長は返済するに足る資料を有していなかったため、退職金の退職前の支払いを可能とする旨の退職金規定を新たに整備し、退職金の前貸しとして送金し、「退職給付資産」と資産勘定に計上した。

・税務当局は上記「退職給付資産」は資産性を有するものでなく、給与に該当すると認定、源泉所得税の納税告知処分、また実際には存在しない「退職給付資産」を資産計上するなど事実を隠蔽又は仮装したとして重加算税の賦課決定処分をした。


結論

・退職金規定が理事長に対する貸付の弁済原資を供与する目的で定められたこと

・送金額が退職金の支給可能額の範囲にとどまっていたこと

・送金された翌日に理事長が貸し付けに対する弁済をしたこと

・消費貸借契約書が作成されていなかったこと

・退職金規定において、金銭を貸し付ける旨の文言は一切認められなかったこと

等を考慮して納税者の控訴を棄却した。



中小企業の税務調査や日々の業務を行う上でも、貸付金か代表者に対する給与(賞与)かという論点はよく出てきます。今回の判決は、様々な事実を総合的に勘案して給与認定されたのだと思われますので一概には言えませんが、特に金額が大きいもので貸付金を主張するのであれば、金銭消費貸借契約書は用意しておくべきと改めて思いました。

ただ、経理上資産として計上したのみで事実隠蔽又は仮装に当たるというのは少し厳しい気もしますが・・・(経理処理以外の要因がもしかしたらあるのかもしれませんが)。

また、退職金規定を新たに整備しなおしたのも、結果として給与課税される要因の一つになってしまったのだと思います。


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