こんにちは。尼崎市にて創業サポート・税務サポート等を行っております金子税理士事務所です。
昨日、国税庁から生命保険会社42社に対して節税保険をめぐる新たな税務処理案が示されました。
内容としては、解約時の返戻率が50%を超える契約は返戻率に応じて段階的に損金算入できる割合を制限するというもの。
新たな損金算入ルール案においては、返戻率70%超85%以下であれば、4割を認めるという形になっているようで、一定の忖度がなされたのではという記事も見かけます・・・。
さて、上記の通り一定の制限はくわえられるようですが、法人契約の生命保険は非常によく使われている節税商品の一つでした。
しかし、生命保険に加入すると、原則として数年間お金が寝てしまいますし、会社の資金繰りを悪化させてしまう可能性もあります。ですので、加入する前には十分な検討をする必要があります。
例え単年度で大きな利益が出たとしても、それ以降の事業年度においてまだ見通しが立たない場合や、その分のお金を運転資金に回したほうがよい場合等で、その後の資金繰りが苦しくなるケースも数多くあります。
保険会社によっては、生命保険に質権を設定して融資を受ければ資金繰り対策になるという提案をするところもあるようですが、翌年以降の融資契約更新の際、当初言われていた利率より高い利率を言われるケース、退職金の原資とするはずの解約返戻金を借入金返済に充てなければならないこと等一定のトラブルやデメリットがありますので、そのような提案はおすすめできないです。
そもそも100万円の法人税等の節税をしたいならば、(課税所得にもよりますが)少なくとも300万円の保険料を支払う必要があります。節税目的のみを考えた生命保険の加入をしてしまうと、資金繰りが悪化するのはある意味必然とも言えます。
ただ、生命保険についてすべてがダメだというわけでなく、(生命保険の本来の目的である)保障目的で加入するものや、毎期継続的に一定額の利益が見込め、かつ代表者の退職金の原資として考えて加入するもの等については、非常に意義があります。
また、個人が加入する生命保険については、相続税対策・相続税のための納税資金対策として非常に有用です。
生命保険の種類や保障内容等については保険会社の方に確認するのがよいですが、その保険に加入したことによる節税効果や資金繰りについては、顧問税理士に今一度ご相談されることをおすすめします。
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